Message 日本配給にあたってReview 日常感覚で日韓関係を描くInterview エピソード3『空港男女』主演 塩田貞治さん
Photo Report シネマコリア2006舞台挨拶&ティーチイン


Report 『まぶしい一日』のワンシーン再現という体験
text & photo by 岸野令子
photo & video presented by 日本写真映像専門学校

 日本写真映像専門学校の主催で、毎年恒例となった「日韓映画バトル」が諸般の事情で今期お休みとなりました。しかし、過去5回続けたイベントを待ってくれているファンの人もいることだし、何よりも写専がこれまで続けてきた「日韓交流」の糸を切ってしまうのは残念ではないかと思いました。


左:濱口校長 右:岸野(筆者)

 私がコーディネーターを務めさせてもらっている関係もありますので、ここはぜひ、何らかのイベントで、来年の復活につなげてほしいと思いました。それで濱口栄校長先生に、学校でのオープン・キャンパスの一環に韓国映画上映を加えてもらえないかと提案しました。それが8月19日の『まぶしい一日』特別上映になったわけです(於:日本写真映像専門学校・実習棟新ホール)。

 当日は単に映画を上映するだけでなく、体験入学の皆さんに実習として『まぶしい一日』のワンシーンを撮影してもらうことになりました。また濱口校長と岸野のトークも挟むという盛りだくさんな「一日」となりました。

 午前中の映画上映とトークの後、昼食タイム。そして午後から実習です。取り上げられた場面は第3話『空港男女』のワンシーン。空港の書店で働くオ・ゴニが帰りのバスに乗ろうとしてケータイを忘れたことに気づき、店に戻って探すというところです。演じるのは写専の学生さん。指導は鯖田先生。書店に見立てた実習室にはビデオカメラ3台を設置。3ヶ所から同時に撮れるように位置を変えています。


撮影風景

 学校体験入学の参加者は10名ほど。写専の学生さんが20名ほどという布陣で、映画製作の各パートを分担して担当します。参加者がさまざまなパート(撮影、照明、音響、演出、カチンコ)を担当するため、何度も同じシーンを撮影します。たとえば最初にカメラに回った人がつぎは照明、つぎは音響、と順にすべてのパートを体験するのです。それで結構時間がかかります。役者さんはそのつど、テスト、本番、テスト、本番の繰り返しでお疲れさま。そのあと皆で編集ルームの作業も体験。終わってから早速出来たシーンを皆で見ました。それがこの動画です。

 えっ?! こんな短いシーンなの?と言わないでくださいね。これでも半日かかったのですよ。私もずっとつきあって、結構疲れましたが面白かったです。本当の映画撮影はもっとたいへんでしょうが、貴重な体験ができました。

 『まぶしい一日』がこんなふうな使われ方をしたことは、とてもよかったと思います。第3話『空港男女』がいちばん再現しやすかったということもありましょうが、この映画会に参加された若い人たち、体験入学に来たひとにも現役の学生さんにも、この作品がいちばん好評でした。

 日本写真映像専門学校は、ずっと「日韓映画バトル」という催しを続け、いろんな意味で日韓の交流に力を尽くしているのですが、この「再現シーン撮影」は、また新しい形での交流のしかたになったのではないかと思います。ワンシーンの撮影とはいえ、在校生たちは何度も映画を観たり、リハーサルをしてくれたわけです。先生たちも協力を惜しまず手伝ってくれました。この体験物語を、韓国のスタッフに届けてもらい、新たな交流に繋がれば嬉しいなあと思います。『まぶしい一日』は、そうした日本と韓国をつなぐ作品にふさわしいものでもあると思っていますので。

2007/12/11 掲載


撮影に使用された絵コンテ