コミック・スピード・恋愛ホラー映画。友人に裏切られて事故死してしまったタクシー運転手が、ゴースト・タクシーを駆ってソウルの街で恋人を探しまわる。ソウルの街を疾走するタクシーのスピーディーな映像はなかなかだが、説得力のないストーリー展開と、俳優陣の粗末な演技力、そしてホラーという割にはちっとも怖くない点が酷評された。
タクシー運転手のギルラム(イ・ソジン)は、8年目にして個人タクシーを開業。独立したのをきっかけに、恋人ユジョン(チェ・ユジョン)にプロポーズをしに行くが、その途中で交通事故に遭い崖から転落して死亡してしまう。しかし、ユジョンを想う一心で、ギルラムは49日にゴーストとしてこの世に戻ってくる。そして、事故がゴースト・タクシーの運転手カマキリ(キム・ウォンボム)の仕業であることと、友人のビョンス(イム・ホ)が自分を霊界に売った事実を知り愕然とする。しかし、運転することしか能のないギルラムもまたゴースト・タクシーの一員に。やがて、同僚のゴーストであるオーケー(チョン・ヘギュン)、ノンストップ(チョン・ジェヨン)、ナリ(ファン・チェリン)等と親しくなり、様々な事実を知っていく。
ニューヨーク大学経営学科出身のイ・ソジン(1973年1月30日、ソウル生れ)が公開オーディションを通じて主役のギルラム役に抜擢された。彼はテレビ・ドラマ『乞食』(1999,MBC)、『波の上の家』(1999,SBS)などには出演経験があるが、映画は全くの新人。ギルラムの恋人ユジョン役は『アウトライブ −飛天舞−』でシン・ヒョンジュンを誘惑する女性役でスクリーン・デビューしたチェ・ユジョン(1976年生れ)。インドク大学工芸科卒の彼女は、本作での演技が認められ、新作『葉』では主役としてキャスティングされた。悪霊にそそのかされて友人のギルラムを売ってしまうビョンスを演じたイム・ホ(1970年1月27日生れ)は、時代劇作家イム・チュンの息子で、中央大学演劇映画科卒。1993年にKBS第15期タレントとしてタレント・デビューしており、MBCの人気時代劇『ホ・ジュン』などに出演しているが、映画はこれがデビュー作となる。その他、イ・イジョンとパク・キョンニムがカメオ出演。また、カン・ソンジンが声で出演している。
中央大学西洋画科卒業後、パリのC.L.C.F.で映画の勉強をし、『ホリデー・イン・ソウル』、『生寡婦慰謝料請求訴訟』などで助監督をしたホ・スンジュンの監督デビュー作。彼はジャズのコラムニストでもある。
製作費は10億ウォン以下で、最近の映画としては珍しく外部資金を導入していない。現役レーサーがスタントで活躍。
ゴースト・タクシーの車体ナンバーは「ソウル 44 サ 4444」。「4」は日本で縁起の悪い数字とされているが、韓国でも事情は全く同じ。「4」は韓国語で「サ」と発音し、「死」の韓国語の発音と全く同じためだ。そこで、この映画では逆に「4」と「サ」を車体ナンバーに使っているという訳。ちなみに、韓国では、3階の次が5階になっているホテルがあり、シネコンでも3番スクリーンの次が5番スクリーンになっているところがある。
初版:2000/10
最新版:2001/8/20
|